僕が女性から男性に戸籍上の性別を変更(修正)した後、社会で生きていく中で感じている感覚が「男になれない男、女になれない女」というものです。
一般的・伝統的に男らしさ・女らしさと言われるものについて、以下にまとめてみたいと思います。
~男らしさについて~
1. 性格・行動面の特性
心理学者のサンドラ・ベムが提唱した「ベム性役割指数(BSRI)」や、多くの社会心理学的研究では、伝統的な男らしさとして以下の要素が挙げられます。
- 自律性と独立心: 自分の力で物事を成し遂げようとする意志。
- 決断力と主導権: リスクを恐れず意思決定を行い、集団をリードする姿勢。
- 強靭さ(レジリエンス): 精神的なタフさや、感情を抑制して困難に立ち向かう忍耐力。
- 競争心と達成欲求: 他者より優位に立とうとする、あるいは高い目標を達成しようとする意欲。
2. 外見上の特性
生物学的・進化学的な視点(進化心理学など)では、テストステロン(男性ホルモン)の影響が反映された特徴が「男性的」と認識されやすいとされています。
- 骨格の逞しさ: 広い肩幅、厚い胸板、細い腰(逆三角形の体型)。
- 顔立ちの特徴: 発達した顎のライン、低い眉(彫りの深さ)、太い眉毛。
- 身長と筋肉量: 相対的な背の高さや、骨格筋の発達。
~Google AIより~
~女らしさについて~
1. 性格・心理面の特性(共同性と表現性)
心理学において、伝統的な女らしさは「共同性(Communion)」や「表現性(Expressiveness)」という言葉で集約されます。
- 共感性と配慮: 他者の感情やニーズに敏感であり、思いやりを持って接する態度。
- 協調性と支持: 争いを避け、周囲と協力して調和を保とうとする姿勢。
- 温和さと優しさ: 攻撃性を抑え、他者を包み込むような受容的な態度。
- 感情の表出: 自分の感情を豊かに表現し、対人関係において情緒的なつながりを重視する特性。
2. 外見上の特性
進化心理学や生物学的な視点では、主に「若さ」や「健康さ」、「生殖能力」を示唆する特徴が「女性的」と認識される傾向にあります。
- 柔和な骨格と曲線: 脂肪の付き方による柔らかな曲線、狭い肩幅、くびれたウエスト。
- 幼型化(ベビーフェイス)の要素: 相対的に大きな目、小さな顎、滑らかな肌など。これらは進化心理学的な性差において保護本能を刺激する要素とされます。
- きめ細かな肌や髪: 健康状態や若さを象徴する視覚的な手がかり。
~Google AIより~
~伝統的なジェンダー特性の概念的比較~
~Google AIより(「BSRI」(Sandra Bem, 1974)を参考にグラフ化)~
僕の感覚として、上記のような伝統的な性別ごとのイメージが、学童期・思春期時代の教育の背景に常に存在していて、明確な言葉や態度のみならず社会的な空気によって、それぞれの性別に応じた特性に沿っていくよう誘導されているような気がします。
性的なアイデンティティの確立のために、社会からのジェンダー的期待や要請に応えようとするような心の動きは、思春期は特に大きく存在するのではないかと思います。
僕の場合は、実現したかった伝統的な男性的特性を表現しても、求められるのは伝統的な女性的特性だったため、常に表現したいものと求められているものの間で葛藤していた様に思います。
現在では、伝統的な特性に無理に自分を合わせたり、また伝統的な特性自体を否定するのではなく、「自分が必要な時に、必要な特性を自由に選べることが理想という考え方がビジネスシーンや家庭の在り方で広がりつつあるようです。
調べていく中で、興味深い概念がありました。
アンドロジニ―(心理的両性具有)という概念です。
単に「中性的」であることではなく、「人間としての能力を性別という枠で制限せず、多面的に発揮すること」を目指す概念であり、一人の人間が「男らしさ」と「女らしさ」を高いレベルで併せ持っている状態を指すそうです。
- 高い適応力と柔軟性: 状況に応じて、リーダーシップ(男性性)を発揮したり、共感(女性性)を示したりと、豊かな行動の選択肢を柔軟に使い分けることができます。
- メンタルヘルスの向上: 特定の性役割(例:強くなければならない、など)への過度な執着が少ないため、抑うつや不安のリスクが低く、幸福感が高い傾向にあります。
- 高い創造性: 固定観念にとらわれないため、独創的な発想や表現に長けているとされることもあります。
男ならこう、女ならこう、のような固定概念に囚われることなく、自分の好みであったり、必要なスキルであったりするように、全ての中から自分で選んで備えたり、備わったものを強化したり、それを社会的に役立つ力として表現したりできる、ということだと感じています。
仕事上で求められる能力の差が、性差で優劣がつくとは考えにくい時代になってきたと思います。その中で、男女の特性のいい所を取って使うことが出来れば、生き方の幅が大きく広がるのではないかと思います。その時、その特性は「男性的」「女性的」という言葉ではなく「人間的」なものとして捉えられるようになるのかもしれません。
かつての僕と同じように、今自身の望む性と要求される性の狭間で葛藤されている方がいるなら、自分がどういう特性持っているのか、どういう特性を身に付けたいと思っているのかを、まず第一に考えてみてほしいです。
それらが、世間一般で「男性的」「女性的」と言われていることは、一旦外に置いておいて。
自分がどういう人間として生きたいのかを考えた上で、性別を変えることが重要だと思ったら、その為の手段を尽くすことをおすすめします。
僕の経験上、「どう生きたいのか」が、人生において自分を支える軸になると思います。
それではまた。


コメント